令和5年4月から、新しい点呼告示が施行され、従来のIT点呼に加え、業務後自動点呼が対面による点呼と同等であると改正されました。効率性向上・人手不足解消のため、運行管理者が対面で行う点呼を、認定された機器が代替する自動点呼が注目されています。
本記事では、ビデオ通話プラットフォームのSkyWayが、自動点呼とはなにか、時期や業務後自動点呼について、導入要件・条件や、国土交通省の認定機器、申請方法、おすすめの自動点呼ロボット・システム、助成金についてなど、初心者でも分かりやすく、徹底解説します!自動点呼の導入を検討中の方はぜひ参考にしてみてください。
- 自動点呼とは
- 自動点呼の要件・条件について
- 自動点呼の国土交通省が認定している機器は?
- 自動点呼のおすすめロボットは?
- 自動点呼システムのおすすめは?
- 自動点呼システム・ロボットを自社で開発するには
- 自動点呼の導入には補助金・助成金が利用可能
- 自動点呼の申請・届出について
- まとめ
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自動点呼とは
自動点呼とは、運送業界で働くドライバーが乗務前後に行う点呼を、ロボットやICT機器を活用して自動化するシステムです。通常、運行管理者が対面で行う点呼を、認定された機器が代替します。これにより、労働時間の削減やミスの防止、安全性の向上が期待されます。例えば、酒気帯びや健康状態の確認、運行状況の報告などが機器を通じて自動的に行われます。令和5年4月に公布された新しい点呼告示から導入が進められ、乗務後の点呼から自動化が始まっています。
自動点呼はいつから?
自動点呼は、以前より国土交通省が専門家による検討会や実証実験を通じて、運行管理の高度化を目指し制度を整備してきました。
令和5年4月から、新しい点呼告示が施行され、従来のIT点呼に加え、遠隔点呼・業務後自動点呼が対面による点呼と同等であると改正されました。
まずは、乗務後の点呼から自動化が認められ、認定された機器を使用することで実施が可能です。
※詳細は、「道路運送法施行規則等の一部を改正する省令等が公布されました -国土交通省」「道路運送法施行規則等の一部を改正する省令等について -国土交通省」「遠隔点呼及び自動点呼の告示改正に関するポイント 」をご参照ください。
業務後自動点呼のみ可能
現時点で自動点呼が認められているのは、乗務後の点呼のみです。乗務前の点呼は、運転者の健康状態や運行可否の判断が必要なため、引き続き対面で行う必要があります。業務後自動点呼は、アルコールチェックや運行状況の報告などを自動化し、運行管理者の負担軽減と安全性の向上を図りますが、緊急時には運行管理者が対応できる体制が求められます。
業務前自動点呼はNG
上述でも記載したように、業務前自動点呼は現在認められていません。業務前の点呼では、運転者の健康状態や運行の可否を総合的に判断する必要があり、この重要な判断を機器だけで行うのは難しいためです。従って、運行管理者が対面で行う必要があります。今後、実証実験や技術の進展によって、業務前自動点呼が実現する可能性もありますが、現時点では対面点呼が必須です。
自動点呼とIT点呼、ロボット点呼との違い
自動点呼、IT点呼、ロボット点呼はそれぞれ異なる特徴を持ちます。
- 自動点呼 : 機器を使って点呼を無人で行うシステム。生体認証や酒気帯び測定などを自動で実施します。国土交通省の認定機器を使用し、要件を遵守した上で、業務後のみ実施可能です。
- IT点呼 : 遠隔地から運行管理者がビデオ通話などのIT技術を使って点呼を行います。運転者と管理者が直接対話できる点が特徴です。IT点呼の要件・条件に遵守する必要があります。
- ロボット点呼 : ロボットが点呼を行うシステムで、自動点呼の一種です。生体認証やアルコールチェック、指示出しなどをロボットが担当します。国土交通省の認定機器を使用し、要件を遵守した上で、業務後のみ実施可能です。
これらの点呼方法は、運行管理の効率化と安全性向上を目指して導入されています。
IT点呼、遠隔点呼については以下の記事にて詳細に解説しているので、ご参考ください。
自動点呼の要件・条件について
自動点呼を実施するには、以下の要件・条件を満たす必要があります。
使用機器・システムの要件
- 生体認証機能 :顔認証、静脈認証、虹彩認証など、個人を確実に識別できる機能。
- 酒気帯び測定結果の記録・保存:運転者が測定を行っている様子を静止画や動画で記録。
- 確認・指示機能:運行管理者の指示を運転者ごとに伝達する機能。
- 非常時の警報・通知機能:酒気帯びが検知された場合や点呼未実施時に警報、通知を発した上で点呼は未完了とする機能。
- 点呼結果の保存:点呼結果を電磁的に記録し、1年間保存する機能。
実施場所の条件
- 監視カメラの設置:なりすましや不正を防ぐため、点呼場所の天井などに監視カメラを設置し、運転者の全身の様子を確認できること。
- 指定場所での実施:所定の場所以外での点呼を防ぐための対策が必要。
運用上の遵守事項
- 機器の正常作動維持:常に正常に作動する状態を保持すること。
- 機器の管理:点呼機器が所定の場所から持ち出されないよう対策を講じること。
- 点呼未実施防止:点呼の予定と結果を適宜確認し、未実施を防ぐこと。
- 緊急時対応:酒気帯びが検知された場合や機器の故障時に、運行管理者が対面で対応する体制を整備すること。
- 個人情報保護 :生体情報や個人情報を扱う場合、運転者の同意を得ること。
これらの条件を満たすことで、自動点呼の安全性と信頼性が確保されます。
詳細は、「運行管理高度化ワーキンググループ(旧:運行管理高度化検討会)- 2.関係書類一覧、チェックリスト、参考情報 - 運送事業者向けチェックリスト、参考情報 - 業務後自動点呼|国土交通省」をご参照ください。
自動点呼の国土交通省が認定している機器は?
国土交通省が認定している自動点呼機器は、運行管理の安全性と信頼性を確保するための基準を満たしています。これらの機器には、生体認証(顔認証、静脈認証など)、酒気帯び測定結果の記録・保存、運転者への指示機能、非常時の警報・通知機能が含まれます。
国土交通省が認定している機器については、「認定を受けた自動点呼機器一覧 |国土交通省」をご参照ください。
自動点呼のおすすめロボットは?
自動点呼には、ロボットを活用する方法があります。例えば、「SAN点呼」や「e点呼セルフ Typeロボケビー」などがあり、これらのロボットは、生体認証や酒気帯び測定、運転者への指示などを自動で行います。以下、詳細に解説します。
自動点呼システム「SAN点呼」(中央矢崎サービス株式会社)
自動点呼システム「SAN点呼」の特徴
SAN点呼は、中央矢崎サービス株式会社が提供する自動点呼ロボットです。ロボットが従来の対面点呼を代行することで、運行管理者の業務負担を軽減します。生体認証(顔認証や手のひら静脈認証)により確実な本人確認が可能で、点呼データはクラウドに自動保存され、いつでもどこでも確認できます。優れた対話機能により、楽しくコミュニケーションを取りながら点呼を実施できます。
自動点呼システム「SAN点呼」の費用
ロボット単体プラン | ALCセット |
---|---|
3万円/月 | 5万円/月 |
自動点呼システム「SAN点呼」の費用については、現在特別キャンペーンが実施されており、業界最安値級の価格帯となっています。詳細については、下記公式サイトへお問合せください。
※詳細については公式サイト「自動点呼システム『SAN点呼』|中央矢崎サービス株式会社」をご参照ください。
e点呼セルフ Typeロボケビー(東海電子株式会社)
e点呼セルフ Typeロボケビーの特徴
東海電子株式会社が提供する、e点呼セルフ Typeロボケビーは、対面点呼と同等の効果を持つ自動点呼機器です。運行管理者の業務を代行し、簡単な操作で点呼を行うことが可能です。顔認証やアルコール検知機能を備えており、異常時には管理者に通知する機能も搭載されています。また、免許証確認や体調管理機能もオプションで追加可能で、運転者の安全と健康管理をサポートします。
e点呼セルフ Typeロボケビーの費用
e点呼セルフ Typeロボケビーの費用については、公式サイトでは公開されておらず、要問合せとなっています。
※詳細については公式サイト「e点呼セルフ Typeロボケビー|東海電子株式会社」をご参照ください。
自動点呼システムのおすすめは?
自動点呼システムは、「Lark 自動点呼」がおすすめです。以下、詳細に解説します。
Lark 自動点呼(Lark Japan株式会社)
Lark 自動点呼の特徴
Lark 自動点呼は、Lark Japan株式会社が提供する国土交通省認定の点呼機器(JG24-009)で、スマホを活用して点呼業務をスムーズに行います。自動点呼、遠隔点呼、ライドシェア点呼、対面点呼に対応し、営業所や運転手の働き方を改善します。自動点呼機能以外にも、メッセージやビデオ会議、ドキュメントの共同編集など、業務効率化のための様々な機能があります。
Lark 自動点呼の費用
Larkの費用はユーザーベース課金となっておりますが、 自動点呼のオプション費用については、公式サイトでは公開されておらず、要問合せとなっています。
※詳細については公式サイト「Lark 自動点呼|Lark Japan株式会社」をご参照ください。
自動点呼システム・ロボットを自社で開発するには
既存の自動点呼システム・ロボットでは自社のニーズに応えられず、多くの拠点や点呼回数による高額なコストにお困りの方には、自動点呼システムの自社開発が最適です。
自社開発する際に、自動点呼の要件の一つである、アルコール検知時や異常時の管理者への通知、連絡、ビデオ通話が必要な機能としてあります。
また、現在は業務後の自動点呼のみ可能であり、業務前は遠隔点呼・IT点呼(もしくは対面点呼)を実施しなければならず、遠隔点呼の機能を持ち合わせたシステムを実装する必要があります。
その際、簡単にビデオ通話機能を導入できる「SkyWay」という開発ツールがおすすめです。
「SkyWay」を活用すれば、ゼロからの開発を避けることができ、ビデオ通話機能を迅速に導入できるため、開発工数とコストを大幅に削減できます。
最近では、多くの遠隔点呼・IT点呼システムに「SkyWay」が利用されています。
「SkyWay」とは、ビデオ・音声通話をアプリケーションに簡単に実装できる国産SDKです。
大きな特徴としては、以下が挙げられます。
- スピーディーな開発ができる:
開発資料が豊富かつ日本語でわかりやすい、国内エンジニアがサポートしてくれる - 信頼性・安全性が高い:
NTTコミュニケーションズが開発、運営する国産SDK。サービス歴は10年以上で、累計導入サービス数も21,000件以上。IT点呼・遠隔点呼の導入事例多数あ - 無料で開発スタート:
開発検証用として、Freeプランあり。テスト検証期間中は無料で利用可能。商用サービス提供後も基本利用料11万 + 従量課金制で安心。
WebRTCのSDKとして提供されているものは、海外製が多いため、開発ドキュメントも英語か和訳のもので開発しにくい傾向にあります。 「SkyWay」であれば、NTTグループが開発、運営する安心の国産SDKかつ、国内エンジニアがサポートしてくれるため、開発運用工数も大幅に削減でき、開発のしやすさからもおすすめです。
テスト検証用は無料のため、ぜひアカウント登録をしてみください。
※自社開発したIT点呼・遠隔点呼・自動点呼機器を活用する場合は、国土交通省へ申請し認定される必要があります
※機器の認定については「運行管理高度化ワーキンググループ(旧:運行管理高度化検討会)- 2.関係書類一覧、チェックリスト、参考情報 - 運送事業者向けチェックリスト、参考情報 - (3)機器メーカー向け提出資料|国土交通省」「令和6年度 過労運転防止に資する機器に関する 選定要領|国土交通省」はご参照ください。
自動点呼の導入には補助金・助成金が利用可能
自動点呼を導入する際には、助成金や補助金を利用することができます。国土交通省に申請できる補助金や、全日本トラック協会からの助成金が利用可能です。
国土交通省の補助金
被害者保護増進等事業費補助金(自動車運送事業の安全総合対策事業及び先進安全自動車の整備環境の確保事業)
令和6年度の補助金に関してはまだ公式で発表されていないため、情報が分かり次第、更新いたします。
令和5年度までに関しては以下のサイトをご参照ください。
※令和5年度被害者保護増進等事業費補助金-(公財)日本自動車輸送技術協会
※令和5年度 被害者保護増進等事業費補助金自動車運送事業の安全総合対策事業(過労運転防止のための先進的な取り組みに対する支援)-国土交通省
また、令和6年度「被害者保護増進等事業費補助金(自動車運送事業の安全総合対策事業及び先進安全自動車の整備環境の確保事業)」を実施する補助事業者が募集されていましたが、募集期間は令和6年4月17日(水)〜令和6年5月1日(水)であったため、現在は募集はされていません。
※詳細については『令和6年度「被害者保護増進等事業費補助金(自動車運送事業の安全総合対策事業及び先進安全自動車の整備環境の確保事業)」に係る補助事業者募集について』をご参照ください。
全日本トラック協会の助成金
自動点呼機器導入促進助成事業
全日本トラック協会は、令和6年度に中小トラック運送事業者の安全性向上と労働環境改善を目的とした、自動点呼機器の導入促進助成事業を実施しています。この助成事業は、国土交通省が認定した機器を導入する中小事業者を対象に、導入費用の一部を支援するものです。申請には、国土交通省に提出された業務後自動点呼の届出書の写しが必要です。
対象者 | 各都道府県トラック協会の会員事業者で、中小事業者を対象とします。 ※中小事業者とは、中小企業基本法による中小企業者 ・資本金の額または出資の総額が、3億円以下の会社 または ・常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人 |
助成金額 | 対象となる自動点呼機器の導入費用 (周辺機器、セットアップ費用及び契約期間中のサービス利用料を含む) ・上限10万円(各協会1事業者あたり1台分) ・上限20万円(Gマーク事業所を有する事業者は2台分) |
※詳細については「自動点呼機器導入促進助成事業について -全日本トラック協会」をご参照ください。
安全装置等導入促進助成事業
IT機器を活用した遠隔地での点呼に使用する携帯型アルコール検知器の導入も助成対象です。ただし、この助成を受けるには、Gマーク事業所を有する事業者であり、かつ測定結果を自動的に営業所設置の端末へ送信できる機器を導入する必要があります。
助成金額 | ・対象装置ごと 機器取得価格の1/2、上限2万円 ・なお、後方視野確認支援装置及び側方視野確認支援装置を 同時に導入した場合は、機器取得価格総額の1/2、上限4万円 |
※詳細については「安全装置等導入促進助成事業について -全日本トラック協会」をご参照ください。
助成金を上手く活用して、自動点呼システム、機器の導入を検討してみてください。
自動点呼の申請・届出について
自動点呼を導入するには、事前に管轄の運輸支局長への申請・届出が必要です。まず、認定を受けた自動点呼機器を準備し、使用する予定日の10日前までに、管轄の運輸支局長へ届出を行います。届出には、点呼機器の詳細や使用計画を記載した書類が必要です。これにより、国土交通省は機器が基準を満たしていることを確認し、安全かつ確実な点呼の実施を保証します。
※提出書類については、「運行管理高度化ワーキンググループ(旧:運行管理高度化検討会)- 2.関係書類一覧、チェックリスト、参考情報 - (1)運送事業者向け提出資料 - 業務後自動点呼の実施に係る届出書 |国土交通省」
※申請については、該当営業所の管轄の運輸支局のサイトをご参照、お問い合わせください。
まとめ
自動点呼は、運送業界のドライバーの乗務前後の点呼を自動化するシステムです。ロボットやICT機器を活用し、対面での点呼を認定機器が代替することで、労働時間の削減、ミスの防止、安全性の向上を図ります。特に、酒気帯びや健康状態の確認、運行状況の報告が自動で行われます。2023年4月から業務後の点呼で導入が始まり、現在は乗務後のみ自動化が認められています。これにより運行管理者の負担軽減と安全性向上が期待されます。要件・条件を遵守し、自動点呼の導入を検討してみてください。自動点呼・遠隔点呼・IT点呼システムを自社で開発する場合は、SkyWayがおすすめです。